2019年4月2日火曜日

令和 を読む

天平二年の正月の十三日に、師老の宅に萃まりて、宴会を申ぶ。時に、初春の令月にして、気淑く風和ぐ。梅は鏡前の粉を披く、蘭は珮後の香を薫す。しかのみにあらず、曙の嶺に雲移り、松は羅を掛けて蓋を傾く、夕の岫に霧結び、鳥はうすものに封ぢらえて林に迷ふ。庭には舞ふ新蝶あり、空には帰る故雁り。
=================

あたらしい春、あたらしい日。あたらしい命を迎え入れる。すぅっと吸い込むと胸がじんわりと暖かくなるような、さわやかな風が私のほおを撫ぜる。つい先日ほころんだ梅花はまるで白粉のよう。鏡の前で母が叩いた、あの白粉。蘭の香りは彼女が持っていた香袋を思い出させる。ああ、明けの明星が輝く頃には、雲の流れ道が見える。宵の明星が輝く頃にはむせるような霧。松を湿り気のなかに封じ込める。霧の帳の向こう、鳥達の翼が交わり、離れる。その繰り返し。家の庭に出ると、あたらしい命が行き交うのが見える。この蝶は羽化したばかり。あの雁は秋冬を告げた雁だろう。

あたらしい命が吹き込まれる。
命が孕む調べはどんなもの?

0 件のコメント:

コメントを投稿

2022年1月17日 水彩の計算

去年の春から月1〜2回ペースで、絵画教室に通っている。最初は鉛筆デッサンで、慣れてきたら水彩に挑戦する日もしばしば。 水彩は高校生の頃に数回しかやったことがなく、この年になって本格的に挑戦している。油彩の方が描いている数は多いので、感覚が掴めなくて、最初の数回は苦しかった。高校の...